Raspberry Pi Pico の開発環境構築(Windows10+Visual Studio code)
Raspberry Pi Picoをマルツで購入してみたが、開発環境の構築が厄介だったのでメモとして残す(ちゃんと資料を読めば簡単)。 目標としてWindows10でVisual Studio Codeを使用してビルドできることを目指す。
↓のドキュメント「getting-started-with-pico.pdf」に開発環境構築の情報があるのでこれを基に環境構築を行う。
https://datasheets.raspberrypi.org/pico/getting-started-with-pico.pdf
Raspberry Pi Pico Windows用 Setupインストローラをダウンロード
github上で公開されているインストローラをまずダウンロードする。 今回は64bit用exeを使用させて頂いた。
インストーローラを起動してNextをクリックするとインストールするコンポーネントを選択する画面となる。 ここで必要なコンポーネントは下の5つ。他のコンポーネントは必要に応じてインストールすれば良さそう。今回はとりあえずチェックボックスを変更しないで”Next”をクリックした。すでにインストールされているコンポーネントはスキップされる。
一通りインストールが終わったらRaspberryPi PicoのSDK等をgitからローカルにクローニングするか尋ねられるので今回は手動で行いたかったのでお断りした。
SDKとサンプルのクローニング
インストール時にクローニングをお断りしたので、手動でクローニングをする。
まず、インストールしたBuild Tools for Visual Stuidio 2019のDebeloper PowerShell for VS 2019をスタートメニューから開く。
そして、ワークスぺースを作りたいところでクローニングする。今回はF:ドライブ直下にworkspaceというフォルダを作ったのでその中にクローニングしていく。 通常はC:ドライブで行えばよい。私の環境ではCドライブ容量が心もとないのでF:ドライブで行った。
コマンドは以下の通り。
F:\workspace> git clone -b master https://github.com/raspberrypi/pico-sdk.git F:\workspace> cd .\pico-sdk F:\workspace\pico-sdk> git submodule update --init F:\workspace> git clone -b master https://github.com/raspberrypi/pico-examples.git
これでクローニングが完了した。 エクスプローラーで該当のフォルダを見ると様々なフォルダが追加されているのがわかる。
"Hello World"をコマンドラインからビルドする
Visual Studio Codeでビルドする前に資料通りコマンドラインからビルドしてみる。
SDKのパスを設定
コマンドは以下の通り。
F:\workspace> setx PICO_SDK_PATH "..\..\pico-sdk"
Poweshellで下の文章が帰ってきたらPoweshellを一旦閉じて再起動する。
成功: 指定した値は保存されました。
”pico-examples”フォルダに移動して”build”フォルダを作る。
"build"フォルダに移動してcmakeとnmakeを実行してビルドする。
このビルドはクローニングしたサンプルプログラムをすべてビルドするのでかなり時間がかかる。
コマンドは以下の通り。
PS F:\workspace> cd pico-examples PS F:\workspace\pico-examples> mkdir build PS F:\workspace\pico-examples> cd build PS F:\workspace\pico-examples\build> cmake -G "NMake Makefiles" .. PS F:\workspace\pico-examples\build> nmake
ビルドが正常終了すると、先ほど作成した"build"フォルダにサンプルのフォルダごとにビルド結果がわかれている。
今回は"F:\workspace\pico-examples\build\hello_world\usb"のUTF2ファイルをRaspberryPi Picoに書きこむ。 このサンプルは、USB経由で仮想COMポートとなりシリアル通信で"Hello World”を送信するプログラムで、 TeraTerm等から送信した文字列が読める。
Raspberry Pi Picoに書き込む
まず下図のようにRaspberryPiPicoとPCをUSBで接続する。スイッチを押しながら電源供給を始めないとプログラムが動いて書き込めないので注意。 USBを挿して電源供給が始まりPCがRPI-PR2を認識したらスイッチを押すのを止めてもめて良い。
PCがRPI-PR2を認識したら先ほどビルドした”hello_usb.uf2”をRPI-PR2にドラッグ&ドロップする。ドロップした瞬間書込みが始まり、PCから認識されなくなる。書込みが完了したらプログラムが実行される。
TeraTarmなどで通信を読むと下のような挨拶が送信されてくる。これでビルドが正常にできていることが確認できた。
Visual Studio Codeの環境設定
最後にVisual Studio Codeの環境を設定してビルドできるようにする。
Visual Studio Codeを開くにはコマンドプロンプトで下のコマンドを実行する方法と、スタートメニューから起動する方法があるがどちらでも良いので起動する。
code
起動が正常にできたらまず、ExtentionでCMake Toolを有効化する。(インストールされてない場合はインストールする)
次に歯車ボタンをクリックして、Extention settingをクリック
CMake Tools configurationで"Cmake: Configure Environment"を探して"Add Item"をクリックしてItemとValueに下図のように入力。(¥は\と同じ)
Item: "PICO_SDK_PATH " Value "....\pico-sdk"
次にCMake Tools configurationでCmake:Generatorを探してテキストボックスにNmake Makefilesを入力する。
これでVisual Studio Codeの環境設定が終わった。
ワークスペースを開く
下図のように”Open Folder”をクリックして、SDKとサンプルをクローニングしたワークスペースの中の”pico-examples ”フォルダを選択する。
フォルダを選択したら、下の青いバーで「キットが選択されていません」と出るのでここをクリックする。すると、上部の検索テキストボックスの下に選択肢が出現するので、”GCC for arm-none-eabi ”を選択
プロジェクトをビルド
上の工程をすべて実行したらビルドをする準備ができたのでビルドを行う。ビルドは下図のように青いバーの中の歯車マークをクリックすることでビルドが始まる。このビルドもコマンドプロンプトでビルドした際と同様にサンプルプログラムをすべてビルドするので時間がかかる。(コマンドプロンプトでビルドした後変更していなければ早い)
ビルドが正常に終了したら、コマンドプロンプトでビルドした際と同様に"build"フォルダからドラッグ&ドロップで書き込む。
サンプルプログラムのコードを変更してみたいときは、左のexplorerからサンプルを選択してCファイルを開いて変更してビルドすればよい。