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第三種電気主任技術者 機械ー誘導電動機2

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 前回に引き続き第3種電気主任技術者の機械ー誘導電動機についてまとめてみる。

 今回は、トルク回転数特性と制御(始動法)について記述する。

前回記事

kirikoshokunin.hatenablog.com

誘導電動機のトルク回転数特性(すべり)

 誘導電動機もトルクは電流から発生する磁力(電磁力 )なので、固定子側のコイルに流れる電流(一次側電流)と回転子に流れる誘導起電力による電流(二次電流)に比例する。

一次電流は、誘導電動機の場合一次電圧に比例する。 また、二次電流はすべりと一次電流に比例する。

 したがって、誘導電動機のトルク回転数特性は下図のように横軸にすべり、縦軸にトルクとしたグラフが用いられる。横軸すべりは右側がすべり0、左側がすべり1になっているので注意が必要。つまり、右端は回転子の回転速度と同期速度が一致しており、左端は回転子が停止している状態。

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すべりトルク特性線図

 グラフをみて分かるように、すべりの大きさが適切な時(一般的に0.3程度)に電動機の出力可能トルクが最大になる。それ以上すべりが大きくなると出力トルクが下がっていってしまう。

 そのため、電動機を安定して動作させるときは最大トルクを出すすべりより小さい(上図:安定動作領域)で運転する必要がある。こうすると、負荷が増加して回転数が下がったときにトルクが上昇するため、負荷とトルクが釣り合う。

 一方で、最大トルクのときのすべりより大きい領域(上図:不安定動作領域)で動作させると、負荷が増加すると出力トルクが小さくなってしまうので、さらに回転数が下がってしまい最終的に停止してしまう。

三相誘導電動機の制御

始動法

 三相誘導電動機は始動の際に、始動電流や突入電流と呼ばれる大きな電流が流れてしまう。定格電圧を始動時に印加した場合、定格電流の4~8倍の電流が流れてしまう。 そのため、電動機出力や用途に応じて三相誘導電動機には以下のような始動方法が用いられる。

  • 直入れ始動法
  • Y-Δ始動法
  • リアクトル始動法
  • コンドルファ始動法(補償器始動法)

 直入れ法は、下図のように単純に商用電源とモータの間にスイッチを挟んで、スイッチをONすることで始動させる方法。この時に始動電流が定格電流の4~8倍流れてしまう。したがって、大型の電動機で直入れ法をとると電流が流れすぎたりするので、故障の原因になる。

 小型の電動機の場合は、始動電流が小さいので直入れ法で始動することも多い。

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始動法ー直入れ法

 リアクトル法は、下図のように始動時のみ電源と電動機の間に直列接続したリアクトル(コイル)に電流を流して始動させる方法。このようにリアクトルを間に挟むことでインダクタンス成分と抵抗成分が増加して、始動電流を低減することができる。始動後はリアクトルをスイッチで短絡させる。

 簡単な回路の追加で済むので、安価に構築できるが始動トルクが小さくなるデメリットがある。

 ちなみに、この始動リアクトルを抵抗に置き換えたら一次抵抗始動法と呼ぶ。

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始動法ーリアクトル法

次回

kirikoshokunin.hatenablog.com

参考文献

前回

kirikoshokunin.hatenablog.com